想い背負う鳥

「太公望さん!」
「…貴公か」
こちらに向かって走ってくる少女。
私より少し下の仙人だ。
年下…より見た目が、だ。
「久し…ぶりです…ね!」
息をするのがやっとらしい。息が荒いから分かるが。
「そうか?」
…。ダメだ。いつも彼女に会うたびに何かが狂う。
「はい!」
…。笑顔に負けてしまう。
「…。顔…赤いですよ…?」
「なっ…!」
「嘘です!」
「コラ!」
彼女といると時が止まったように感じる。

…。片思いというものか。
向こうが好きなのか解らない、だから片思いと言っているのだろう。
…当たり前だが…。

いつかこの初恋が実りますよう願って。
今飛び立とうではないか。
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