鳥の落とし物

「どうした?坊主?これほどか?」
「くっ…まだだ…。」
なぜ勝てない。私の力は及ばないのか…!
「坊主。これ以上続けると坊主がもたぬぞ。」
この人はいつもそうだ。同じ事を言う。
つまり…いつも同じ結果になるということだ。
「まだ…私は…いける…。」
「伏犠、そこまでにしておけ。」
「そうじゃな、女カ。」

悔しい…。
なぜ勝てないのだ。
「坊や。悔しいか?」
「貴方に解るはずがないだろう。」
「そうか。」
そうだ。私の事など解る者がいるまい。
しかし、現に私が勝てないのは確かだ。
それは認める。が、何かが足りない。
力では無い何か。
「坊や。奴に勝つには己を信じろ。それだけだ。」
「?」

『己を信じろ。』
どういう事なんだ…。まったく解らない。
やはり未熟者だからなのか。
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