−エターニア−
−こんな事になるのなら一緒に逝けばよかった。
−エターニア−
「ねぇ、また会えるよね?」
幼いながらも彼女は真剣な眼差しでまるで何か求めるかのように言ってきた。
「会えるよ。」
僕はこう答えた。
そうすると彼女は
「じゃ、約束!」
そう言って、『ゆびきりげんまん』をしようと言った。
「ゆびきりげんまん…」
これが俺の初めてと言える宝物だったのかもしれない。
−その行き先は
「母上お願いです。織田へ行かせて下さい。」
私は必死に母お願いをする。
私はどうしても父に会いたかった。生きている内に。
でも…
「ダメって何回言わせるの!もうあの人とは縁なんてないの!」
私は今までこんなに母に怒られた事なんてなかった。
私の中の何かにスイッチが入ったかのように、母を突き飛ばして城外へ走った。
−どこまで来たのか分からない。
ここはどこだろう。
どこまで私は走ってきたのだろう。
きっと別の国にきたのだろう。
なんだか足がイタイ。
よく見ると裸足で来たみたいだった。
足にはかすり傷でいっぱいだった。
でも、今はそんなことどうでもよかった。
「 」何をいったのだろう。
小さな声でなにか言ったのだろうか。
−父に会いたい。
父…に…?
私は父に会いたいだけだから城を飛び出したの?
何か大事な事を…大事な事を忘れている。
『そこで何をしている。』
今、後ろで誰かの声がした。
知らない人の…声?
ちがう。知っている人の声だ。
だいぶ違っているけど面影が残っている。
「佐…吉…?」
聞こえそうにもない小さな声で言った。
顔が思い出せない。
そう考えていたら陣羽織を着た青年は驚いた顔で
「どうして…俺の幼名を…」
幼名?
まさか…本当に『アイツ』なの?
青年は何を思ったのだろう。
「まさかお前…鈴…なのか…?」
私の名前を言ったの?
私はもう一度…今度は相手に聞こえるように
「佐吉…なの?」
なんだろう。このキモチ。
さっき…いや物心ついた頃にはあったモヤモヤがはれた気がする。
−まさか…
透明な粒が地面を濡らす。
「佐吉なの?」
「鈴…なのか?」
もう一度確かめ合うかのように言う。
透明な大粒が地面いっぱいに濡らす。
佐吉がいた。
まさかいたなんて。
幼なじみが生きていた。
まさか本当に会えるなんて思ってなんかいなかった。